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ぬくもり
2009年12月31日 (木) | 編集 |
うっく……久々すぎる牧神です

牧2年、神1年 お正月のオハナシ~





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『 ぬくもり 』





チャリをこいで小一時間ほど行ったところに絶好のポイントがある。
いや、釣りじゃなくて……サーフィン仲間いわく「俺のとっときの場所で日の出を見るにはサイコー」だそうだ。この前わざわざヤツが電話をよこして、今年は俺に譲ってやる、と言ってきた。
彼は俺と神のことを知っている。
たまには外で二人っきりになるのもいいんじゃね? と笑っていた。
見返りには何を要求されるのか恐ろしくもあるが、取りあえず俺が高校生だってことも知ってるわけだし、そう無理なことは言わないだろうと踏んでありがたく好意を受けることにした。

「みんなで初詣に行こ~う!」と武藤が言い出す前に神に声をかけた。
俺からのこんな誘いが珍しかったのか、しばし眼をぱちくりさせていたが「ちょっとしたトレーニングですね」なんて言いながら案外すんなりとオッケーしてくれた。




そこは教えてもらった通り、チャリを降りて主道から外れた道とも呼べないところを上っていく。結構な上りで、一緒にここにやって来るアイツの彼女ってのはやっぱりスポーツをする類の人種なんだろうなと考えを巡らせた。
木々を抜けて岩場に出た途端、眼前に暗い海が広がる。
「足元、気をつけろよ。大丈夫か?」
声をかけると「はい」という返事とともにぽわぽわと呼気が白く踊った。
とにかく寒い。
岩場の少し窪んだところに並んで腰を下ろし、日の出を待った。


風が変わる。
鳥が鳴き始めるとすぐに光の帯が水平線を飾り、太陽がその姿を現してくる。
「……うわぁ…」
周りを見回して、神は俺の隣を離れると一段高い岩場にあわててよじ登った。
新しい光をただひたすらに見つめる瞳。この光に何かを祈っているんだろうか……
段々と明るく照らされていくその横顔を、俺はずっと見ていた。

太陽が全てを現してもなお、神は飽きもせずきらきらと光る海をじっと眺めている。
風邪をひかせるわけにもいかないので戻ろうと声をかけることにした。
「そろそろ下りて来いよ。まだ見てたいか?」
手を貸そうとすると、神は一瞬躊躇して、それから俺の手を握る。
この躊躇はなんなのか、最近になってやっと理解した。
反射的に考えてしまうらしい。これは俺の手を借りても良いことか、それとも自分ひとりでやるべきことなのかと……

神が海南に入って自分との距離は近くなったはずなのに、かえって以前より離れてしまったような、そんな気がしないでもない。
コイツは当然ながら先輩と後輩の立場を選び、俺は宗一郎という名前すら声に出すことがなくなった。
神自身もここ一年の成長は早く、昔まとっていた少女めいた可愛らしさがすっかり消えて、と言うよりも著しく伸びた身長に押さえこまれて今では十二分に男子高校生の姿だ。
来年……いや、もう今年か、俺は海南バスケ部を率いる立場になる。
コイツもレギュラーの座を確実にもぎ取るに違いない。現に三年が抜けた今、ほとんどの試合にスタメンとして起用されている。
この負けん気は一体どこで身につけたのか……慎重で我慢強い気質はわかっていたが、神の闘争心というものは今まで見たことがなかった。
それもいい……俺自身もその姿に気持ちを引き締め、共に行きたいと考えを新たにしたのだから。

「ほいよ」
勢い余ってぐらついた身体を抱き止める。
バツが悪そうにえへへと笑った鼻を俺はつまんでやった。
「寒いんだろ。鼻の頭が真っ赤だ」
「……牧さんの鼻だって赤いんですよ。黒いから目立たないだけです」
手を振り払って言い返してくる。こんなところにまで負けん気かと笑ってしまう。
「正月早々吹っ掛けるなよ」
くすりと神も笑ったが、そのあと動こうとせずに無言で俺を見つめている。
「……どうした?」
「牧さん……」
「ん?」
「俺、牧さんに逢わなかったら、バスケ、やってたかな?」
「いきなりどうした」
「ううん。ただそう思って……」
頼りなさそうに見せる笑顔は変わらない。 わかっている、答えが欲しいわけじゃない。神はきっと、もちろん俺もだが、お互いがいない状態が考えられなくて、たまにその状況を想像してみるだけだ。

「してたさ」
自信満々に答えてやると不思議そうな顔をする。
「でも海南には来なかったかもな。そうだな……翔陽にでも行って…何て名だっけ?人の良さそうな……伊藤か? ヤツとでもコンビ組んでたんじゃないか?」
「なんですか? そのリアルな妄想」
「で練習試合か何かで俺が一目ぼれして……」
「伊藤クンに?」
「ばーか」
お前に決まってるだろ?この確信犯め。 遠慮なく頭を叩いてやった。
「それで苦労するんだぜ、藤真の包囲網くぐり抜けてお前に会わなくちゃなんなくて」
あはは、と声を出して神は笑った。
「牧さんヘンなの」
そう言いながら瞳は尋ねている。 ……本当に?
そうだとも。どの道を通っても俺はお前と逢っていた、俺にはそうとしか考えられない。

「ほら、行くぞ。また一時間コースだ」
差し出した手を、躊躇うことなく神は取った。
時々顔をのぞかせる小さな不安と、日常と、そんなものとまた一年付き合って行くのだ。
きっと大人になるまで……
それでも俺たちはこうして並んでいられる。それだけはお前も信じられるだろう?



ふいに引き寄せて頬を合わせる。
「冷たいな……」
触れ合わせた肌から徐々にぬくもりが生まれてくる。
「……ううん牧さん ……あったかいよ」

鳥の声も波の音さえも 何も聞こえずに ただそのぬくもりを俺は感じていた。



2009/12/31
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まっきじ~~~んん!!!!

ラブい二人はよいにゃあと……別れ話によどんでたんで書いていて楽しかったです。
楽しいは基本デスにゃ♪

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コメント
この記事へのコメント
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

今年初の 牧神 
寒そうで暖かそうでした(笑)
意外に寒がりそうな じぃ ズボンの下には
おっさんがはくような、起毛のパッチ(←これ全国共通よな?関西しか通じない事ないよね?)はいてるはず。
いい雰囲気になっても、脱いだら台無しで~す!

流して読むところかもしれませんが、サーフィン仲間の彼女が彼女なのかどうか気になりました(笑)
2010/01/03(日) 12:02:29 | URL | ぽよ #-[ 編集]
こちらこそまた一年お世話になろうと目論んでます(え)どうぞ宜しくお願いしちゃうもんっe-266

牧さん着用のモモヒキ(これのコトだよね?)は、すぽーつまんとして筋肉を冷やしちゃいけないとの心構えがそうさせているのであって……え?無理がありすぎる?まぁ…ごにょ……

サーフ仲間の彼女は彼女ですよ。
決してアゴに瑕があったり、魅力的なタレ目だったりしませんとも!(どーゆー設定か自分でもわからなくなってきまちたe-330


2010/01/03(日) 14:40:15 | URL | ねこ #-[ 編集]
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