超絶遅速更新駄文置場 ときどき 日記
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ふたり
2009年04月05日 (日) | 編集 |
CAUTION!!  ☆捏造注意報☆

このお話には私の捏造した神の同級生が出てきます。
と言うより最初から最後までいます(笑)
苦手な方はお引き返し下さいm(_ _)m





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『 ふたり 』




奥歯をぐっと噛み締めてあくびを殺す。
練習後のミーティング、疲れた身体を座らしときゃ眠くもなるだろ。
「よし。今日はこんなところだな……じゃあ解散するか」
監督が終了を告げ席を立つとマネージャーたちも連れ立って部屋を出ていった。
筋肉の重だるさが妙に気持ちよくなってきて動きたくねーなーと思っていると、隣から神が声をかけてきた。
「遠藤」
「んー、ナニー?」
重い身体に空気を入れるように、くぁーっと伸びながら返事をする。間の抜けた声。
もうちょい、もうひと伸ばしと手と足を最大限に引っ張り合う。
あ! 神の短い声と同時にずりっと尻が滑って、ガシャンという音響付きで遠藤は床に転がった。
「大丈夫!?」
「あだ、だだだだ……へーきへーき」
少し腰を浮かせて様子を見ていた神は、すとんと隣にしゃがみ込む。
「ヘンなとこ打たなかった?」
「あー…… なんか話?」
「そんなのいいから」
遠藤はよっこいしょと高校生としてはどうかと思われる掛け声と共に起き上がり、顔を覗き込む。
「だから平気だって。なんかあったんか?」
「……ちょっと聞きたいことがあって」
「なんだよ?」
「ん?うん、なぁ……俺って……とっつきにくいか?」
「はぃ?」
遠藤は目を丸くしてまじまじと小ぶりな顔を見つめ直した。

しばしの間。

神は真面目に聞いているらしい。
「えーと…… なんで急にそんなこと思った?」
「うん……」
言葉を選んでいるのか、少し口籠ってから話し始める。
「最近な、一年生と眼が合うと慌てて目礼して逃げてくんだけど……俺コワイかな」
その真剣な顔に堪えきれず、遠藤はふき出した。
新入生もだいぶ数が減って、今残っている連中がおそらくこれからも一緒にやって行くメンバーになるのだろう。どうやら神はその連中に敬遠されてしまったらしい。
笑いながら目の前の肩をばしばしと叩く。
「違うって!」
「違う、って?」
「あー、それはー」
神の真剣な顔を見ると再び笑いがこみ上げてきて、大きく咳払いをして何とかそれを打ち消す。
「俺がしゃしゃり出ちまってお前あんまり喋る機会ないじゃん?「他になんかある?」とか聞いて「ない」って感じで…… だからこう、なんてゆーか冷たい?じゃないな、孤高?みたいな」
「そんなの……」
「や、そりゃー去年までを知ってるヤツはそんなこと思わないぜ? 実際二年は…… ああ、あれじゃね?一年が寄りつかねーのノブのせいじゃん? 番犬みたくお前にひっついてっから」
「…………」
「ま、ともかくお前三年生っ子だったからさー、自分から話すってよか話しかけられるタイプ?」
「三年生っ子ってなんだよ」
「おばあちゃん子とか言うじゃん。俺らより三年といる時間のが長かったから、ンな印象」
否定したかったが、言われてみればその通りかもしれないと神も思い至る。
「だからさー、こうこうだけど神はどうだ?とかさ、聞かれる立場の時にはナンも問題なかっただろーけど、しゃべんないとお前ってナニ考えてっかわかんないトコあるし、こう……なんつーか声かけづらいってゆーか」
「……そう、かな」
神がスタメンに選出され、自分たちよりも上級生と多く練習時間を持つようになっても、遠藤は頓着せずにお互いの立場の違いを話題に上らせた。そんな付き合い方をしてくれたから神も同学年の仲間から外れることなくやってこられたのかもしれない。
「ほらなー、結構ニブいとこあるしな」
「ニブいって……」
それじゃあまるで牧さんだと即座に浮かんだ顔を思考から追い出していると、遠藤はぎゃははと笑いながら立ち上がった。
「まーな、お前のニブいは牧さんレベルにゃまだまだだけどな」
「牧さん?」
頭の中を言い当てられたようでびっくりした。
「牧さんさー、さすがは帝王って貫禄だったけど、的外れも天下一品だったじゃん? それを補ってたのが宮さんだったり、武藤さんだったりしたワケでさ…… おんなしだって、今年はその役、俺がやっから。どーんと孤高で行け!ひたすらココウで」
遠藤はそう言いながらやたらと楽しそうに笑った。本気なのか、からかわれているのか神にはわからない。
「キャプテンって……ニブい奴がなるのかな……」
「ちげーねーや」
ぼそりとつぶやいた疑問には、即座に思いっきりの肯定が返される。
「少しは否定してくれたって……」
「あぁ?ぜ~んぜん。お前ったらニブニブだもんな」
「なんだよ、それ」
段々と膨れっ面になっていく神の顔が面白くて遠藤は目が離せない。
こうやって話していると、二年の終わりに牧に言われたことを思い出す。

海南は知っての通りの大所帯で、一人でこれだけの連中を引っぱるのは実際かなりキツイ。監督はお前と神のどちらかをトップにと考えているようだが、自動的に片方がサブに付くことになる。
お前がトップで神がサブ。これだとあいつは文字通りサブの立場に納まってお任せモードになるっていうか……下の面倒見とか悪いってワケじゃあないんだが、やりたいヤツはやれ的な部分があるしな……まぁ、お前のことだから、それでもこなせちまうんじゃないかと思ってる。だが反対に神の場合は一人では無理だ、勝ちに向かって突き進む力は並じゃないが、お前が持ってるほどの人望があるとは思えない。お前が神のサブに立ってくれたら、このコンビネーションは結構上手く行くと思うんだが……どうかな、お前には納得できない話かな?

牧の言葉はストレートだった。
上手いよなぁとも思った。牧が神をことさら可愛がっているのは知っている、うがってみれば神にキャプテンをさせたいが為の発言と取れなくもないが、そんな下心をこの人が持ち合わせていないことは分かっていた。それにキャプテンなどという立場は仕事が増えるだけでプレイヤーにとっては嬉しくない責務だ。
それでも海南のバスケ部を引っ張って行く…… 神と二人でなら悪くないと思った。

ひたすら走り続ける強さを持っている神には、できないヤツの心が分からない。
それゆえ彼は一人だった。
友達はもちろんいたけれど、バスケに対して神と同様の集中力を維持できるヤツはいなかったし、同じようにしたいと思うヤツもいなかった。
二年になって早々にスタメンの位置を勝ち取った神に、遠藤は声をかけた。
「よっ、すげーじゃん」
「……負けたくないから」
耳に届いた小さな声は答えだったのか、自分に言い聞かせた言葉だったのか……コートに立ち続けることに執着した神は、ラストチャンスの上級生にであろうともそのポジションを譲ることはなかった。
彼がいなければもしかしたら自分もスタメンに食い込めたかもしれないけれど、遠藤はその努力と信念を敬意と共に認めていた。

反面、神は周りを見ない。
中には当然面白く思わないヤツもいたと思う……見ていてヒヤヒヤした時だってあった。
可愛い顔しやがって、と誰かが言った。
その通りだ。だけど実際、可愛いのは顔だけでコイツは決してヤワじゃない。負けず嫌いで頑固で無鉄砲で、凶暴ですらある。
……誰か止めてやれよ、心の中でツッコミを入れたことが何回もあった。今ではそれが自分の役目になったのだということが、やっと実感として湧いてきた。

キャプテンになった当初はかなり気負っていたと思う。
わかってはいても退部者が続けば気にもした。生真面目な性格はどうでも良いことでも突き詰めて考え込む。
やっとこの頃になって、適当とか加減みたいな部分がわかってきたような気がする。
「遠藤がいてくれて良かったよ」
ためらいもなく神はそんな言葉を口にするけれど…… もしかしたら一番引っ張られているのは自分かもしれないと最近思うようになった。
神の勢いに下を宥めつつ、率先して付いて行く。
マジかよ!? と思いつつも自分が一番先に止める訳にはいかない、これも意地だ。
結果として海南のバスケ部は今のところイイ感じにまとまって、常にフル回転する羽目に陥っている。
牧さんのあの言葉にハメられた、のか、もしれない……
それなのに今が面白くて堪らない自分が、かなり悔しい。

「ちッくしょ~っ!とォ」
正直な気持ちを口にした途端、ヘンな物を見る眼つきで神は一歩後ろに下がった。
あのなぁ…… 
あーあー、覚えとけよ!お前にはこれからもびっったし、くっついてやっからな! 
そんで……勝とうぜ。
「な、神。 俺ら勝つよな?」
「常勝海南。当たり前だよ」
迷いもない答。
それだけ言うと神はさっさとシュート練習に行ってしまった。
見送って遠藤はもう一度椅子を引き寄せる。


ボン…… こもったバウンド音が聞こえてくる。
一回。
あ、これハズれー。
二回。
おーし、入った!

眼を閉じて耳でシュートを追いかけていると、むずりと身体の中で何かが動き出してくる。どうにもあの響きには逆らえないらしい。
「んー……」
のろのろと立ち上がる。それでも首を伸ばし腕を回し、もう気持ちは決まっていた。

扉を開ける。
「じーんー、やっぱ俺もやってくわー」
振り返った顔の口元が緩やかにほころんだ。








2008/10/05
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場所説明を少々
部室とは別に体育館の中に小さな部屋がある設定です
(全員召集時以外はここでミーティングとかするの)

彼らの身の回りを書こうとすると
どうしても捏造事が多くなってしまいます
最低限にしたいと思いつつ……色々考えるのが楽しかったり(^^;)
お気に障ったらゴメンナサイです



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