超絶遅速更新駄文置場 ときどき 日記
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Present
2009年05月10日 (日) | 編集 |
久しぶりの牧神です
牧2年生、神1年生の時のオハナシ。

ベタベタしててもそれはワタシのせいじゃありません(責任転嫁)
書いていて、やっぱこの二人は……いいにゃあと思いました。






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『 Present 』





駅前の横断歩道、向こう側にやたらと目立つ三人組が見える。もしや……と思いながら歩を進める。神は交差点のど真ん中で彼らと出逢った。
「あ」
「あ!」
翔陽の……この三人は…… 藤真さんと花形さん、高野さん……名前をきちんと思い出せたことに安心したとたん腕に衝撃を感じた、見れば藤真の腕がしっかり絡まって問答無用に今歩いてきた方向に引っ張り戻されている。
……すれ違うだけじゃやっぱり失礼なのかな? そう思い直して神は引かれるまま元の歩道に戻った。
「こんにちは」
ペコリと頭を下げてから、今のはあまりにも運動部員らしからぬ挨拶だったんじゃないかとちょっと後悔した。
「ウッス、今日は?アイツいねーの?」
「え?」
アイツというのが牧を指しているのだということはすぐにわかったけれど……牧さんと一緒の時ばかり藤真さんに会ったっけ?……何て答えたらいいんだろう……
そんなことを考えていたらいきなり頭を押さえつけられた。次にぐりぐりと手を動かしているところをみるとどうやら撫でられているらしい。
他校といえども牧の友人で、先輩には違いないから、神はおとなしくされるままになっていた。
「ほーんーとー、かっわいいのな!バンビみてぇ! 背が高くても可愛いヤツは可愛いんだよなー?花形」
特に神の答えは期待していなかったのか、藤真の声は上機嫌だ。花形も藤真の物言いには慣れているのだろう、抑揚のない声で返した。
「そうだな。小さくても可愛いとは限らないことは良く知ってる」
そういえば初めて翔陽メンバーのやりとりを聞いた時、喧嘩腰の物言いに心配顔だった自分に漫才みたいなもんだと説明した牧は、藤真から蹴りを喰らっていたっけ。
「一人でどこ行くんだ? あ、彼女と待ち合わせかー?」
「買い物です。帰りです。それと彼女はいません」
「マジで? 隠すなって」
「彼女作ってるヒマなんて、ないです」
「藤真よー、からかうなって」
横断歩道を逆行させられた上に未だに片腕を取られたままの神を、なんとか解放してやろうと高野も口を出すが効き目がまるでない。
「一人なら付き合えよ。ナニ買ったのか見して」
神の持っていた袋のスポーツ店のロゴを見て、藤真が覗き込む。
「バッシュです。穴あいたから」
「おっし! じゃマック行こーぜ」
「えっ!?」
「映画はっ!?」
「おい!!」
藤真がそう言い出したら折れるしかないということを、この数分で神も充分に学習した。

マクドナルドの四人掛けに納まるにはなんとも窮屈な顔ぶれだが、藤真はものともせずに神を押し込み、紙袋を持たせたまま圧し掛かるように中身を検分している。
「お。いーの買ったじゃん」
あっという間に箱を開けてバスケットシューズを取り出されても何も言えない。
「知ってる? ヒモ、他のヤツに通してもらうと怪我しないんだぜ」
「本当ですか?」
「信じないでー、嘘ウソ」
「藤真、からかうな」
すかさず高野と花形のフォローが入る。
「るせーよ。これから流行らせんだから黙ってろよ」
他人のバッシュを今度は凶器にして二人の頭に振りおろす。
予測していたように二人揃ってきっちりかわした姿に、神はつい笑ってしまった。
藤真もたいして悔しくはないのだろう、チッと小さく舌打ちすると花形にシューズを押しつけた。
「ついでだからやれよ」
「え、そんな!」
慌てて立とうとする神を藤真がブロックする。
「フジマー、なに食うんだよ」
いい加減しびれを切らして高野がカウンターに行こうと立ち上がった。
「いつものー」
「花形は?」
「同じでいい」
「神クンは?」
「俺と同じヤツ!」
神に代わって返事をしながら、箱からひもを取り出し花形に投げている。
「花形さん、本当にいいです!」
「いや、構わない」
そう言ってひもを通そうと持ち替えた時点で無言の要求を感じたのか、ちょっと考えてから小さく拝んでみせる。
「これでいいのか」
「そーそー。さすがだね、花形クン」
花形は丁寧にひもを通していく。神はどうしたらいいのかわからなくなってきて、ただ手の動きをじっと見ていた。
「なぁ、オマエいつも一人で買い物来んの?」
「いえ……」 
「牧と?」
「……付き合ってもらうことは多いです」
「ンじゃ今日も連れて来りゃよかったのに」
「牧さん、忙しくて……」


それはまだ寒い2月のことだった。
「来月のお前の誕生日、日曜だよな? どっか行くか」
牧の言葉をとても楽しみにしていた。
それが世代交代で次期キャプテンとなった牧は、新入部員を迎えるにあたり先週あたりから急に忙しくなってきて、引き継ぎや打ち合わせと練習の他にも時間を取られることが多く一緒に帰れない日がずっと続いていた。
具体的に約束したわけではなかったが……牧はどうやら忘れてしまったらしい。
駄目かなと覚悟はしていたが、やはりがっかりもしたし腹も立った。けれど膨れていても仕方ないと思い直して、こうして新しいシューズを買いに出て来た。


上目遣いに神の顔色を読みながら、藤真はふぅんと言った。
「ほいよ」
山盛りのトレーが帰ってくる。払おうとしても高野はあとでコイツらと分けっからと受け取ってもらえない。
「……ごちそうさまです」
頭を下げる神をぐいと引き寄せて、藤真はやたらと真面目な顔で言って聞かせた。
「なー、オマエ、怒る時は怒れ」
「……は?」
「あの鈍感王はズバっと言わなきゃわかんねーんだよ。待つんじゃなくて、首輪つけてリード引っ張ってコッチ向かして言って聞かさねーと」
……強引王のこの人にそう言われてもな……そうも思ったが、牧という人物をきっちり把握している藤真に神は感心した。そしてひとつのいたずらを思いついた。





その日、牧が帰宅したのは10時を随分と過ぎていた。
ミーティングが終わった頃には既に夜になっていて、監督が最後だからと全員を食事に連れて行ってくれた。
早く帰れと言われたが、別れ難い気持ちのまま残ったメンバーでその後もファーストフード店で延々と話し込んだ。もうすぐこの先輩たちとも別れ、部の責任が自分に圧し掛かってくる。気負う必要はないと言われても腹の底がずんと重くなるような気分だった。

いったん部屋に上がり、着替えて下に降りる。ほどなくして母も帰宅した。 
あれこれ話すうちに噛み合わない話に首を傾げ、母親が不思議そうに聞いてきた。
「あなた……今日は学校だったの? 宗ちゃんと出掛けたとばかり思ってたわ。今日、誕生日よね?宗ちゃん」
次の瞬間椅子を蹴立てて立ち上がった牧を、しごく冷静な声が引き止めた。
「ちょっと待ちなさい」
電話に手を伸ばした状態で、極まり悪そうに牧が振り返る。 
「時計を見て」
「……駄目かな」
「もちろん、駄目。常識は守ってちょうだいね」
大体のことにおいて大人と遜色ないと思っている息子が、まだ可愛いと思えるのはこの手の顔を見た時だ。
「明日必死に謝るしか、ないんじゃない?」
母はニコリと微笑んで見せた。






翌日は休み時間の度に一年の教室を訪ねた。しかし図ったように神の姿が見えない。
絶対怒ってるに違いない。それもかなり怒ってる……牧は心中で頭を抱えた。
同じバスケ部の遠藤が廊下に牧の姿を見とめて声を掛けてきた。
「あれ?牧さん…まだ会えてない…… えーっとするとォ……図書室にもいませんかね?今日は授業終わるとすぐいなくなっちまうんスけど」
「ああ……」 
「急ぎ、ですよね?」
「……」
「すんません。牧さんが探してたコト、ちゃんと伝えときますんで」
「や、俺こそ何回もすまない……じゃあ、よろしく頼む」
そう言って引き下がるしかなかった。


放課後取るものも取りあえず部室に行くと、そこには既に着替えを済ませた神がいた。
「神……」
「今日はずいぶん早いんですね」
穏やかな口調の裏にはトゲが隠れている。ここは謝り倒すしかないということを牧はちゃんと心得ている。
「すまんっ!!」
折れるだけ身体を折り曲げて最敬礼の形をとっても、神は不思議そうな顔をして見せるだけだ。
「どうしたんですか?」
「神、悪かった。この通りだ」
拝むように詫びる。
「何のことですか?」
「神、すまない。本当に悪かった」
牧はひたすら言葉を探して詫び続ける。
「昨日のことだ。お前の誕生日だったのに、前に出掛ける約束を」
「別に……約束なんてしてなかったでしょう?」
「いや。口に出したからには約束だ。俺が悪い。申し訳なかった!」
二度三度と、取り合わない素振りを見せても牧は謝った。
神は段々いたたまれない気持ちになってくる。
来年度に向けてどんなに牧が忙しく動き回っているか、それはおそらく自分が知る以上だろうということは容易に想像がつく。にもかかわらず、牧は言い訳をするでもなく謝り続けている。
「牧さん……」
こんな風に頭を下げさせても少しも嬉しくなんてなかった。
「牧さん、もういいです」
「神……」
「牧さんが忙しいの知ってるのに……」
「いや、俺が悪かった。本当だ」
「……」
「埋め合わせしたい。どうすればいい?」
「……」
無言になった神の顔を牧はそっと窺った。
「なんで……お前が申し訳なさそうな顔してるんだ」
「だって……」
「悪かったのは俺だ……なぁ、何がしたい? 言ってくれ」
そう言って伸ばした手が神の指先に触れた。
少し躊躇ってから牧の掌にするりと滑り込ませてきたその手をしっかりと握ってやると安心したように表情が柔らかくなる、そんな顔も随分と大人びてきたことに牧は気付いた。
形の良い額や頬にもっと触れたくてたまらない。
「じゃあ……待っててくれますか?」
「ん?」
「今日……」
「もちろん。明日も明後日も、待つぞ」
気負い込んだ答えに、今度は視線が咎めるものに変わる。
「牧さん……できないかもしれない約束はしないほ…」
我慢はそこで放棄した。
手を強く引き抱き寄せて、掠めるようにキスを盗む。
「ま!」
慌てて身体を突き離して唖然と眼を見開く神に、神妙な顔をして牧は告げた。
「……可愛かったんだから、仕方ない」
「だ!だからって!部室」
我に返って反論しようとした正にその時、部屋の外に複数の足音と声高な喋り声が聞こえてきた。



練習後は、三々五々残って個人練習が始まる。
時計の針が進むうち、一人減り、二人減り、神が最後まで残っているのはもう習慣になっていた。人が減る毎に館内にバウンドの音が大きく響くようになる。
気がつくとミーティングが終わったのか牧が戻ってきていた。
転がったボールを取り、神にパスを出す。神がシュートを決める。
牧がボールを拾い、ドリブルからパス。牧のパスは様々で、それを受けてから体勢を整えシュートを決めるのはなかなか難しい。
一人で黙々と行うシュート練習に比べれば格段に変化に富み、二人は夢中なってそれを繰り返した。
「……終わりか?」
「……はい」
「一人でやるよりは結構キツイな……」
「そうですね…… でもこっちがいい」
そう言って神はモップを取りに行こうとする。
「すぐ終わりますから、牧さん着替えちゃって下さい」
「二本持ってこい。二人の方が早い」
振りかえった顔が楽しそうに笑った。
「牧さんのモップ掛けって、新鮮かも」
「馬鹿言え、俺だってちゃんとやってたぞ」
二人で手早く後片付けをすませ、部室に戻り着替えて外に出た。




「やっぱりもう春なんですね。なんか暑いや……」
今日は気温も高いのか、なかなか汗が引かない。駐輪場に向かう途中の自販機で牧が立ち止まった。
「何飲む?」
「おごりですか?」
「何でもするって、言ったろ?」
「じゃあ……コレとコレ」
「……いきなり二本じゃ腹が冷えるぞ」
「半分ずつ、です」 
そんなことを言われては……思わず牧の頬が緩む。隠すように自販機に向かい、そういえば二人で帰ったのは随分前だったと、記憶をたどった。
ガコンガコンと音をたてて落ちてきた缶を、神の前に差し出す。
「どっちからだ?」
「細かいですね、今日は」
「今日だけ余計だ」
冗談口をたたきながらスポーツドリンクとジュースを分け合って飲んだ。
神が自転車を出すのを待って牧は言った。
「貸せ。お前は後ろだ。送っていく」
眼を丸くする神を促して後ろにまわらせる。
「牧さん……」
「いいから乗れ」
「だってウチからは?」
「歩いて帰れる」
「でも」
「ほら、行くぞ」



広い背中が小さく動く、じっとそれを見つめている。
汗が冷えたのか、少し寒くなってきた。
……特別な日だったなと、一日を思い返してみる。
二人でバスケができたこと、ジュースを分けて飲んだこと、それから……こうして牧が送ってくれようとしている、そんな些細なことが無性に嬉しかった。
「牧さん」
「何だー」
サドルを押さえていた手を牧の腹に回してぎゅうと抱きつくと、自転車がぐら と大きく揺らぐ。
「驚かすな、コラ」
何も言わずに背中に額を押しつける。
あったかい。
「……おい……このまま家まで拉致したくなってくるから、止めてくれ」
なんて魅力的な提案なんだろうと神は思った。
「牧さん」
この背中が大好きだ。
「既になってるから! 頼むから、離れろー」
ここから離れるのは……絶対に無理だと思う。
「それでもいい……」
次の瞬間急ブレーキで自転車が止まる。驚いた顔で振り向いた牧に神は言った。
「明日古文の小テストがあるんだけど……牧さんがポイント教えてくれたら」
「この時期にまだやるのか?森崎のか?」
こくんと肯いてみせると牧がにやりと笑う。
「去年のノートなら取ってあるぞ」
「じゃあ……」
「拉致決定」
牧が再びペダルをこぎ出す。
風を切って勢いよく景色が流れていく。
でも寒くなんかない。


……きっとこれは神様がくれた……
そんなことを思いながら、神は一日遅れのプレゼントをしっかりと抱きしめていた。





2009/05/10
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今のお若いお嬢様方には「??」かもしれませんが、ケータイが普及する前はヨソサマのお宅に電話をする場合、時間を考えたものです(トシがばれるがな・笑)
ウチの牧神はそーゆー環境で育っておりますm(_ _)m


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コメント
この記事へのコメント
今晩は、ねこさんお久しぶりです!
…そしてお久しぶりのコメントでこんな事を言うのもあれなのですが、すみません…本来Presentに投稿させていただくつもりだったコメントがちょっとした私の頭の悪さで「岐路」の記事の方に投稿してしまいました…ブログと言う形で改めて牧神を見ていたら浮かれあがってしまい…本当に申し訳ありません;これからも更新期待しております!!
2009/05/23(土) 03:23:57 | URL | 和美 #gbpshX2M[ 編集]
いらっしゃいませv
和美さん お久しぶりです!
そしてそして、すみませんe-466
ブログ形式だと、纏められないからコメント入れづらいですよねv-356
どこでもお好きな所に入れて下さって結構ですよ( ̄m ̄)
ただし頂いたお言葉は読ませて頂きたいので どこに入れたか教えて下さいね……って、それじゃ二度手間ぢゃんe-464
2009/05/23(土) 21:45:22 | URL | ねこ #-[ 編集]
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